外套

文芸漫談でちょうど「外套・鼻」の話者のことが取り上げられていて、そこで話者の存在感を消すような書き方のほうが小説として進歩しているかというと、決してそんなことはないんじゃないかといったようなことが書かれていたので、立ち読みしながら(そうだ…

「吉野大夫」

後藤明生先生の「吉野大夫」についてですが、以前読んだ「挟み撃ち」よりも「吉野大夫」のほうがおもしろいと感じました。 蓮實先生の「小説から遠く離れて」という評論は図書館で立ち読みした程度で、中身についてはほとんど覚えていませんが、そこから(宝…

どうもごぶさたしています。(昼はサラリーマン、夜はヌーボーロマン)でがんばろうと思いながらも、なかなかうまくいかず――サラリーマンとしての活動が忙しくて小説が書けないというよりは、仕事のことだけ考えてがんばって営業し、それなりに実績を上げら…

ヒストリー・オブ・バイオレンス

以前「コンスタンティン」をみたときに、天国や地獄の話をしつつも基本的には「タバコを吸うと体に悪い」というあまりにも一般的すぎてだれもあえて主張しようとしないことをわざわざ映画で主張するというギャグをおもしろいと思った覚えがあるのですが、「…

ココロ社さんへ

id:kokoroshaさん、ぼくの書きかけの小説を読んでくださって本当にありがとうございます!そもそも、ネットでココロ社さんの「赤い魚の子」や「危険な海の生き物たち」という小説をみつけて読んだことがきっかけで、小説のおもしろさに興味を持つようになっ…

「黒い時計の旅」と「TAKESHIS'」

エリクソン先生の「黒い時計の旅」、すごくおもしろかった。どこがおもしろかったって、仮にドイツが戦争に敗けず、ヒトラーが死んでいなかったら…という想像力がすごいというわけではなく、たとえば19章目の、時計の文字盤に堕天使が這い上がってくるうん…

山下先生ありがとう、素晴らしい映画を魅せてくれて…

「リンダリンダリンダ」を観たらめちゃんこ良かった。文化祭が出てきたので、「ウォーターボーイズ」と比べながら観てしまったんだけど、「リンダリンダリンダ」のほうがめちゃんこ良いと思う。「ウォーターボーイズ」と「リンダリンダリンダ」との大きな違…

MusicalBaton

あこがれの「後だしジャンケン連敗録」(id:throwSさん)からMusicalBatonがまわってきたっす。それで、きょうはズッーとカブに乗りながら何を書こうか考えていてねぇ… これまでワスが音楽について書かなかったのは、とくに書くことがなかったからだーよ! …

二番目の自転車少年

ちょっと前に「真夜中の弥次さん喜多さん」をみました。それで、いま「真夜中の弥次さん喜多さん」についてなにか気のきいたおもしろいことを書けば、もっとこの「森島の学習」が注目されるようになって、その後サクセスストーリーみたいなものがあって、最…

四万十川料理学園卒

これまで「おもしろさ」という言葉の意味をはっきりと定義せず、わざと曖昧なままとりあえずおもしろいと書き、それからそのおもしろさが具体的にはどうおもしろいのかを考えてみるという作業をおこなってきたわけですが、その曖昧なままとりあえずおもしろ…

あけましておめでとうございます

年が明けてから職場内で配置転換があり、転勤していくKさんに代わってぼくが渉外としてはじめて外に出ることになりました。それで正月休みが終わり、仕事がはじまってすぐに三日間で引継ぎ(集金先をまわって名刺を配り挨拶をする)を済ませ、それからひと…

メリークリスマス

この「森島の学習」の読者層はおもに小学校低学年のみんなだとおにいさんは考えているんだけど、きょうはみんなにおねがいがあるんだ。みんなは、孫だよね。そんな孫のみんなへのおねがい。もうすぐみんなはおじいちゃんやおばあちゃんからお年玉をもらうよ…

あとがき

静男先生や美恵子先生の「話のずらしっぷり」が最近の主なおもしろがるポイントになっていて、自分もできるだけおもしろく話をずらしていきたいとは思っているんだけど、もっといろんな種類のおもしろさを、ともちろん思ってもいて、最近「神聖喜劇」と「言…

静男先生ありがとう、いつもおもしろい小説を書いてくれて・・・・・・

藤枝静男先生の『田紳有楽・空気頭』、これはおもしろいところが多すぎて、結局付箋をはれなかった。この小説のおもしろいところのうちのひとつをおおざっぱに言うと、読んでいるうちに「この小説はこういう小説だろう」という予想やイメージがどんどんずれ…

まえおき

いま小説が30枚程度。建売住宅建設地にビーチチェアを置いて日光浴をするビキニの女ふたりのところから書き始めて、小学生がコクヨのノートに大迷路を書いているところまでで30枚。 心配なのは、ビキニの女ふたりがなぜ建売住宅建設地で日光浴をしている…

小説のおもしろいところ(もっと小説をおもしろがるために)

先日、バンクビジネスという雑誌(「融資説明こんなときどうする大事典」という特集)を読んでいて、そこにはいろいろなケースを想定して、見本の答え方が書かれているんだけど、そのなかでも答えづらそうな「融資謝絶時の説明」(パート4「融資謝絶時の説…

天動説と地動説

今朝めざましテレビで、最近の小学生はかなりの割合で天動説を信じているらしいというニュースを見てなんだそのニュースと思ったんだけど、地動説を理解したり信じたりするのは真実を追究したいという熱意などからではなくて、えー!太陽とか月とか星とかが…

乳児は小説を書けない

小説を書き始めた。はてなダイアリーを使って、断片的に思いついたところだけ書くことにした。どうも俺はいきなり完璧なものを最初から順番に書こうと思っていたふしがあったし、なにかしら新しい書き方みたいなものを発明したいと考えるふしもあったので、…

えげつなさに痺れた土曜日

週末の楽しみといえば映画をみに出かけることくらいだから、また今日も昼過ぎに家を出て名鉄に乗り名古屋まで出て、地下鉄で栄へ移動し、オアシス21の出口から名演小劇場まであるき、『ドリーマーズ』を観た。同じ劇場の三階では『だれも知らない』を上映…

遅い反抗期

今日は約束手形の割引をしながら、『Lovely Rita』の突然ズームするカメラについて考えていた。『Lovely Rita』のことを考えながら手形の割引をしていたせいで、金額につける「,」の位置を間違えた。「,」を四桁目につけてしまったんだけど、自分としては…

小説を読んで独り善がりな感想を書いてるだけではつまらないので、あたらしくダイアリーを借りたりして、そろそろ断片的に小説を書く練習をしようかと思う。ほんとに書けるのかな、なんにも書けなかったりして。働きたくないとか言ってる怠け者だから。

書きたくない

仕事はいやだけど、最近読んだ小説はどれもおもしろくてそれは嬉しい。まず中原昌也先生、『マリ&フィフィ〜』はだいぶ前に読んでいて、最近『あらゆる場所に花束が・・・・・・』と『待望の短篇集は忘却の彼方に』を読んだんだけど、『あらゆる場所に〜』…

働きたくない

今週は月末ということもあって残業ばっかりだった。七月に預金係から融資係に移り、直属の上司が事務副長から次長に変わり、つらくなった。この次長というのが、真夜中に小林亜星*1と、両目を入れられた達磨が紫色の鏡の前で出会った結果生まれてしまった危…

観光と事件

いま私の太ももの上には「鎌倉を歩く」という旅行ガイドブックがのっている。ページをめくると、「高徳院の鎌倉大仏」の写真が載っていて、私はそれを見に行きたいと思うし、江ノ電にも乗りたいと思う。夏の間に休みがもらえたら、出かけるかもしれない。そ…

スパイダーマンとカフカ

このまえの土曜日に「スパイダーマン2」を観て、すごく気に入って、どこが気に入ったのかと考えながら生活していた今週も終わりに近づいたので、金曜日を締め切りとして気に入ったところを整理しておきたいと思う。 まず「スパイダーマン2」を観る前に立ち…

いまここで、ロブ=グリエ文学の隠された構造を、「机から机への距離のない歩み」へと還元する試みに加担することを、ここまで書きつがれてきた言葉が、厳しくみずから禁じているのだ。すべては表層に刻まれており、その刻印はわれわれをどこへも誘いだして…

蓮實先生の『批評あるいは仮死の祭典』*1の中にロブ先生についての文章があり、それはとても興味深い。 彼が伝統的なと呼ぶ創造行為にあっては、「作品」は一つの見えない謎を隠したものとして機能し、したがって読者の勤めは、奥の、より深くに埋蔵された真…

ロブ=グリエ先生の『迷路のなかで』をやっと読み終わった。読み始めてすぐ、なるほどこれが「幾何学的な描写」かと思ったけど、「幾何学的」というより、数学の問題文みたいな描写に思えてしかたなかった。高校生の頃数学が苦手すぎて常に赤点をとっていた…

迷路ですよ

七月の半ばになり、信用金庫に入庫してから三ヶ月が経った。この三ヶ月間で事務副長の面白さが分かってきた。 事務副長は、「おごるな・いばるな・あせるな・くじけるな・まけるな」と自分で書いた標語を机の上のビニールシートに挟んでいて、初めてそれを見…

肉汁をめぐって

机の上を整理しようとしたら、高校生の頃に書いた小説が出てきた。コクヨの20×20の原稿用紙9枚に書かれたそれを見つけたとき、俺はおののいた。 書いた、ということだけは覚えていた―17歳か18歳の俺は、コメディアンになりたいと願っていて、しかし…