温故知新、というか、新しい物なんてなかったりして

「高山屋台会館付属館」として、日光東照宮の模型も展示されていました。そこで「逆柱」というものを見て驚きました。「逆柱」とは、完璧すぎる建築物、完成されたものはいずれ崩壊するという運命を免れるために、わざと柱を一本だけ逆さにしておく物だそうです。この「逆柱」のような発想というのは、小説にもあって、例えば高橋源一郎先生がずっと「失敗しなきゃいけない」とか「どこか壊さなきゃいけない」とか言っていて、その意味はなんとなくわかるような気がしていたんですが、この「逆柱」を見て、なんだ、そういう発想は昔からあったんだ、と思いました。「山車と携帯電話」みたいに。こうなってくると、全ての物事はもうすでに考えられてしまっているのかもしれない、みたいな気分になってきて、それを悲観的にとるのかというとそうではなくて、むしろどこかしら気が楽になると思います。要するにぼくらはジャンケンでいう「後だし」が可能な立場にいるのだと思うからです。先行するものについて学べば学ぶほど、よりおもしろい「後だし」をすることができるようになると思います。そういう努力を惜しむと、「後だし」できるくせにわざわざ正々堂々と勝負して負け、みたいなことにもなりかねません。