2004-02-14から1日間の記事一覧

付け足し

ビルの上にタワーをくっつけてしまったり、同じ物を五つも重ねてみたり、横に長く伸ばした建物に像をめいっぱい並べてみたり、わざわざ山の斜面に舞台をつくってみたり、金箔を思い切り貼ってみたり、そうした「付け足し」の中に人間は、いる。

金閣

閉園間際の金閣へ。これは言うまでもなく金箔が「付け足されて」いるのである。建物全体に貼られた金箔は、美しいと同時に滑稽なものである。

北野天満宮

昼食後、梅を見に北野天満宮へ。梅はまだあまり咲いていなかった。梅の樹に花がひとつずつ「付け足される」のをまた見に来たい。

京都大学

京都大学に足を運ぶと、ちょうど京都大学博物館でロラン・バルト先生のデッサン展が開かれていたので入る。彼のデッサンは「わからない」。わかってはいけない。彼のデッサンはどれも意味を生成するかしないかの瀬戸際で「生成しない」に留まろうとする試み…

銀閣

翌朝、まず銀閣へ。これまでずっと「付け足された」物を見てきた。しかし何を基準に「付け足し」と言ってきたのか。この銀閣が基準であったのではないだろうか。しかしながら、銀閣もまたただの基準ではありえず、「付け足されて」いないのならば「差し引か…

珍遊

恵文社を出ると、近くにあった中華料理屋に入る。店の名前は「珍遊」。画太郎先生を思い起こさせずにはいない。から揚げセットを注文すると、まるでケンタッキーのようなから揚げが出てくる。中華料理にケンタッキーフライドチキンを「付け足される」という…

祇園、そして恵文社

バスで祇園を経由し、恵文社へ。その書店は観光とはかけ離れた場所にある。薬局の前。洋書など並ぶ店内は落ち着いたヴィレッジ・ヴァンガードといった趣。吉田健一先生や内田百けん先生など並ぶ本棚を眺める。村上春樹先生は「おしゃれなカフェを紹介してい…

清水寺

さらに、さらにバスで移動。清水寺へ。これもまた「付け足し」。わざわざ山の斜面に舞台を「付け足して」いるという豪快な建物である。大きな舞台を取り付けることで、寺院の基本的なデザインから逸脱している。

三十三間堂

さらにバスで移動。三十三間堂へ。「付け足し」の極みである。まず一体一体の観音像の背に無数の手が「付け足されて」いる。千手観音と呼ばれるこの像が、横一列に延々並べられている。ここまでくると「付け足し」という言葉を超えている。しかしながら、こ…

四条烏丸

再びバスで移動。立派な銀行のビルが建ち並ぶ通り。伝統のある一流銀行が建ち並んでいるように見えるこの通りでも、やはり営業マンはスーパーカブに乗るのである。日本人は、スーツを着てスーパーカブに乗っている男性を見ると「銀行員だ」と思うものである…

東寺

京都タワーを見るとすぐに駅ビルに引き返し、街を見渡せる高さにある展望広場へ。近代的な建物に混じり、五重塔が建っている。それは奇妙な景観である。日本の京都という街では、時の流れは一定ではないようだ。バスに乗り、五重塔を近くで見るため東寺を目…

京都タワー

駅を出るとすぐ、京都タワーが視界に入ってくる。確かにそれはタワーである、しかしエッフェル塔のような物を想像してはならない。そのタワーは、ごく普通のビルの上に継ぎ足されている。まるで「タワーが生えた」かのようなその姿は滑稽である。「蛇足」と…

《禅の庭》 どんな花もない、どんな足跡もない。 人間はどこにいるのか? 岩石の搬入のなかに 箒の掃き目のなかに つまり表現体の働きのなかに、いる。 (ロラン・バルト『表徴の帝国』) 二月十三、十四と、京都へ旅行をした。